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第三話 白の国で…

last update Last Updated: 2025-02-18 18:35:55

「これはリアン様よく来られましたな」エイルの父親が答える

「皆様、こんにちわ、久しぶりに会えて嬉しいです」

リアンと呼ばれた淡い金の髪をした13歳前後の少年は微笑みながら、そう答えた。

彼、リアンの服装は青いチュニック、膝下程の長さ、金の帯で腰の辺りで締めて、留めている、首はV字で金の縁の刺繍、服の裾も同じく

「リアン様、お供の方、ケンタウロスの女騎士…確かレグルス様は こちらにはお通しされなくてよいのですか?」

「いえ、彼女レグルスは向こうで控えてるそうですただ、良ければ何か……」

「ええ、お酒がお好きでしたね 召し上がれますか?」

「いえ、それには及びません、一応、僕の警護 仕事中ですからね」

「では、何か飲み物と軽い軽食でも 召使に用意させましょう」

「有難うございます エリンシア姫様」

「エリンシア姫様は いつもお優しくて 

数年前に亡くなった身分の低い母をいつも庇ってくださって感謝してます」

◆ ◆ ◆

「そんな・・あの方は、リアン様の母君は、とても、物知りで、色んな事を教えて下さったわ」

懐かしむようにエリンシアはため息をつき

「それに、同じ白の宗主様の側室でしたから

あの方こそ 私を何度も助けてくれましたわ」

◆ ◆ ◆

「エリンシア姫様」

「さあ、お茶とお菓子のお替わりは如何ですか?羽琴の演奏をしますが 何かリクエストがあれば?」

「有難うございます、では、夜想曲を・・」

「あ!叔母様 僕は、雪花祭りの歌が聞きたいです」

と…こちらはエイル

「はい、はい、わかりました、では夜想曲から」

◆ ◆ ◆

羽琴と呼ばれる琴の楽器

大きく 琴が幾つも 一つは正面と斜め横にと また3つ琴と弦が重なりあい

下には、土台がそれらを支えている。

小さな椅子に座り 巧にその弦を弾きらして 音楽を奏でていた。

それは…妙なる調べ

次々と曲がリクエストされて

夕方の近くまで、その演奏会は続いた

◆ ◆ ◆

楽しいおしゃべりの後で

「では エリンシア姫様、僕はこれで…」

少年のリアンが礼儀正しい仕草で席を立つ

「良かったら、リアン様、夕食でも?」

「いえ、明日、家庭教師から出される試験がありまして、帰って勉強しないと」リアンは答える

「じゃあ!またね、リアン兄様、僕らは夕食まで叔母様と食べるよ」エイルが笑う

「リアン様、では、また…」

「はい!また」

リアンは 女騎士である白銀の髪のケンタウロスの背に乗り 帰路についた

◆ ◆ ◆

「リアン殿」

そっと、白銀の髪のケンタウロス・・美しい女騎士、戦士のレグルスが声をかける

「二人だけの時は、リアンでいいよ」

「そういうわけにも・・な・・リアン殿

ところで あれが 噂の羽琴の姫君か?

向こう側の部屋にも演奏の音が流れてきたが 素晴らしいものだったな」

「エルトニア姫の身代わりに黒の国へ行くだって…?

あの噂は本当なのか? エルトニア姫は あの姫の‥…」問いかけるケンタウロスのレグルス

「そうだよ、エイルは姫の本当の子供だよ」

リアン

リアンは質問に…ケンタウロスのレグルスに答えた

「そうか…」 「・・・」

「何も知らずに、エイルも可哀そうに、そして実母のエリンシア姫も、あの敵の国の黒の国へ行かされる」

「人質は下手すれば、処刑される」

硬い表情のリアン

「運命とは、時に残酷なものさ、リアン殿、仕方ない」

「人質として来る、黒の国の王子アーシュラン、アーシュか

どんな子供かな? エイルより2,3しか歳が変わらないと聞いた?」

「さてね、しかし、その名前聞いた覚えが…?」とレグルス

◆ ◆ ◆

「え?」リアン

「まさかね、偶然の一致、まあ、気のせいだろう、あの地底湖での出来事はかなり昔だ」とレグルス

「?」きょとんとするリアン

「そろそろ リアン殿のお屋敷に到着だ 食事が待ってるぞリアン殿」

「レグルスは酒と食事だろう?」

「もちろん!」レグルスはニヤリと笑う

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  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   第68話 雪山での争い

    国境近くの冬山で…カキィーンキィィェーン、キィィーン…勢い良く、剣が打ち合う音或いは…爆音魔法が雪に覆われた大地、辺りを吹き飛ばす音も響き渡るのだった。 潜伏していた場所を発見されて…3人は追い詰められたのだった。「リュース公!」「私は大丈夫です!セルト殿!」肩の辺りを負傷したリュース公が叫ぶ「かなりの数の巨人族の兵士達に…それに加え意思を封じる魔法の魔具を付けた奴隷兵士達」「魔法を使える者達…主に黒の国から連れて来られた魔法が使える者達ですね、厄介ですね」こちらは…今は私とセルト殿とタルベリィだけタルベリィ殿は高齢で魔法には長けているが…文官猛将の竜人であるセルト殿 本来なら簡単に敵を撃破出来るのだが助けねばならない黒の民達に…何よりもチラリと崖から見下ろす鎧を纏う黒髪の少女黒の王と同じ深紅の瞳をした王女ティンタル  「王女様、ティンタル王女様」「あら、何かしら?命乞いなのかしら?リュース公リジャイアヌス」冷たい表情をして感情を感じさせずに答えるティンタル王女「タルベリィと貴方は人質としてそうね…とりあえず助けても構わなくてよ」「この数の兵士達、魔法を使える奴隷兵士達も居るリジャイアヌス、リュース公 貴方の魔法と剣はなかなかの者、あのアルテシア姫を育てた者でも、この人数よ…老人のタルベリィは戦士としては役不足だわ」「でも…セルト」カッと深紅色の瞳を見開くティンタル王女「だけど…竜人セルトの力は侮れないわねそれに何より、セルトは覚えてないだろうけど…」「幼い少女だった私の目の前で父親の王を殺害私と父王の守護者、竜人のアレルドも…」「母アリアン王妃は兵士達に槍で貫かれた幼い弟も殺された! 私の目の前で!」「……」竜人セルトは当時、意思を封じる魔法の魔具をされあの時の事は当然、覚えていない…寡黙なセルトはただ、無言で立ち尽くす。「まぁ、神達により定められたアーシュラン兄様の守護者だもの…兄様は攻めないわね」「でも、私は許す気は無いわ!炎の柱!」「焔、炎よ!炎獄の炎よ!我は火炎の王妃ティンタル!我が名のもとに敵を灰燼に還せ!」炎獄の炎の柱…焼き尽くさんばかりの炎がセルトを包む「セルト殿!」「セ、セルト殿!」リュース公 とタルベリィが同時に叫んだ!

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